・シースルー(see-through)とは、「透けて見える」という意味。・シアー(sheer)とは、「透明感のある」「透き通るような」という意味。
このようにどちらも似た意味を持っており、透け感のある素材のことを指します。どちらかと言えば、シースルーよりもシアーの方が控え目な透け感の印象です。また、シースルーは以前から使われているのに対し、シアーは比較的新しい言葉です。
さらに、シースルーやシアー素材にはいくつかの種類があります。今回は、人気の高い「ジョーゼット」「オーガンジー」「シフォン」「チュール」のそれぞれの違いや特徴、用途についてご紹介します。
ジョーゼットとは、タテ糸とヨコ糸ともに強撚糸(強く撚りをかけた糸)を使用して密度を粗くした平織りの生地です。クレープや日本ちりめんの一種で、シボ(しわ)があるのが特徴です。一般的には、「ジョ-ゼット」や「たてよこちりめん」と呼ばれていますが、正式には「ジョーゼット・クレープ」と言います。発祥は、20世紀初頭のフランスで、当初は絹・シルク素材を中心に使用されていましたが、現在はポリエステルなどの化学繊維や混紡素材を使用した生地もあります。
①表面の細かいシボ (シワ模様)②弾力がある③デリケートで熱に弱い
非常に薄い且つ軽い素材で、ふんわりとしたジョーゼットの生地の最大の特徴は、生地表面の細かいシボ感です。強く撚った2種類(S撚りとZ撚り)の糸を交互に、緩やかに編むことで生まれます。
薄手でありながらも、シボがあることで高級感を与えます。さらっとした肌触りで、熱がこもりにくいのもポイント。主にシボが大きい生地はカジュアル向け、シボが細かい生地はフォーマル向けです。
収縮加工をしている生地のため、伸縮性に優れ、バネのような弾力を持っており、パーティーなどの華やかなシーンでも、シワ崩れを気にせずに着用することができます。生地をギュッと握って離すと元の形に戻るので、実際に触れる機会があれば試してみてください。
一方で、とても繊細で熱に弱い生地でもあり、丈夫なポリエステル素材でも耐久性が低くなります。引っかかりやほつれにも注意が必要です。また、高温のアイロンをかけると縮んだり変形したりすることがあります。シワを伸ばす場合、アイロンは低めの温度設定で当て布を使用してください。干した状態で軽くスチームをあてることもおすすめです。
上品で涼しげな雰囲気があり、通気性も高いので春夏用の衣料品の生地として人気があります。ジョーゼットで作られた衣服は、着心地の良さも魅力です。もちろん衣服だけでなく、美しいドレープ性を活かした衣装にも使われています。他にも、エコバック、巾着、ティッシュカバーなどの小物・雑貨を始め、カーテン、クッションカバーなどのインテリアなどにも幅広く使用されています。
衣服
・スカート・ワンピース・ブラウス・シャツ
・パンツ
ドレス・衣装
・パーティー用ドレス・舞台衣装・ダンス、バレエ衣装・コスプレ衣装
・ボレロ
小物・インテリア
・コサージュ・シュシュ
オーガンジーとは、タテヨコともに50番手以上の細い糸を交互に組み合わせた、薄手の平織りの生地です。硫酸仕上げという加工を施すことで透け感や透明感が生まれます。透けるほど薄い生地でありながら、パリッとした固いハリとコシを持っているのが特徴です。また、光が当たる角度によっては、落ち着いた美しい光沢も感じられます。
もともとは綿素材が使用されていましたが、現在ではポリエステルやシルク、レーヨン素材などの様々な素材で織られています。ポリエステル素材のオーガンジーは、強度が高く、弾力があります。熱可塑性も併せ持っているので、プリーツや折り目、シワ加工などを行うことも出来ます。シルク素材のオーガンジーであれば、滑らかで特に光沢感が強く、光沢感のある仕上がりとなります。
このように素材によって、風合いが異なるため用途や好みに合わせて選ぶことができます。
①高級感がある②軽くて丈夫③弾力性がある④滑らかな肌触り
細番手の糸を使用しているため、肌触りが非常になめらかです。均一の糸で織られており、糸ムラもほとんどありません。独特の光沢感と弾力を持ち、上品で高級感のある風合いが魅力です。ドレスやパニエなどの華やかな衣装に多く使われています。
洗濯可能なオーガンジーの生地ですが、色移りや洗濯を繰り返すことで生地の耐久性が下がったり、加工が取れたりする恐れがあるので、手洗いがおすすめです。乾燥機や洗濯機の脱水機能を使わずに自然乾燥させてください。
オーガンジー生地は、見た目や素材感から華やかなアイテムに最適です。もちろんドレスだけでなく、近年では和装などにも使用されています。ハリがあるので、刺繡などを施すことも可能です。また、他の生地を組み合わせて奥行きのあるアイテムを作ることができる、万能な生地です。
・スカート・ワンピース・シャツ・トップス
・ストール
・ジレ
・ウェディングドレス・パニエ・イベント衣装・打掛
・羽織
・アクセサリー・コサージュ・ギフト用バッグ・エコバッグ
・カーテン
・シェード
シフォンとは、極細の片撚りの生糸を使って、たて糸とよこ糸を交互に交差させて織られた、最も薄い平織物のひとつです。粗めに織られているので、糸と糸の間に隙間があり、生地の向こう側が透けて見えます。もともとのシフォンは絹織物でしたが、現在はシルク素材に近い特性のレーヨンや丈夫で耐久性の高いナイロンやポリエステルなどの化学繊維の素材も増えています。また近年では、シワになりにくい強撚糸を使用したシフォン生地もあり、「シフォン・クレープ」と呼ばれています。シフォン・クレープは、シボ感があるので凸凹を感じられます。*片撚りとは、無撚り又はほとんど撚りのかかってない単糸を2~3本撚り合わせたことです。
①ドレープ性に優れている②非常に薄く軽量③透け感が強い③ふんわりと柔らかい④シワになりにくい
シフォン生地は、これまでにご紹介したジョーゼットよりも透け感が強く、オーガンジーよりも細い糸で織られているので、柔らかいのがポイントです。ハリ感もありドレープ性の高い素材で、細かいメッシュ状の模様は、見た目が華やかで上品な印象を与えます。
ふんわりとした軽い生地感ですが、生地が滑りやすいので裁断時や縫製時は注意が必要です。特に透けている素材なので、用途によっては透け防止として裏地を使用してください。アイロンがけは、シフォン用のアイロンクロスを使い、低温でかけるのが望ましいです。
美しい透け感と流れるようなドレープがエレガントな印象を与えるので、ドレスや衣装の素材としてよく取り入れられています。他にも、普段使いのスカートやブラウスといった春夏のレディース衣料やハンドメイドにも多く使用されています。滑りやすく女性特有の裾や袖口などにデザインのあるアイテムにも適しています。また、サテンなどの他の生地と重ねて使われることもあります。
・ブラウス・シャツ・スカート・ランジェリー
・イブニングドレス・ウェディングドレス
・スカーフ・帽子の装飾・ヴェール・ヘアアクセサリー
チュールとは、伸縮性・弾力性を生み出すために多角形の網目をもつ薄手の編物のことです。糸を撚り合わせて絡めて作られる「撚りレース」の一種で、生地をよく見ると穴が空いたメッシュであることが分かります。このメッシュが「亀甲目」と言われる六角形の網目で構成されているため、別名「亀甲紗(きっこうしゃ)とも呼ばれます。
もともとは絹・シルクで作られていましたが、現在ではコットンやポリエステル、ナイロンなどの素材も広く使用されています。普段着としてもよく使われていて、馴染みのある方も多いのではないでしょうか?
実は、この素材には「ソフトチュール」と「ハードチュール」の2種類があり、それぞれ異なる用途に合わせて使われています。ソフトチュールは薄くて柔らかく、オーバードレスやドレスの装飾に適しています。一方、ハードチュールは固くハリ感があるため、パニエやヘッドアクセサリーなどに使用されることが多いです。
① 透け感、軽やかさ② 通気性が良い③ シワになりにくい④ 種類が豊富
他の透け感のある生地に比べ、チュールはやや硬めの風合いでハリ感があります。また目が粗い素材のため、透け感と適度な通気性も持っています。ボリュームのあるスカートやドレス用の生地としても最適で、生地を重ね合わせることで美しいグラデーションを表現することも可能です。
近年では、無地のチュールだけでなく、ラメが織り込まれていたり、プリントが施されていたりなど、加工を施したチュール生地も多く見られます。
この繊細な素材は裁断や縫製する際は注意が必要です。またアイロンを使用する場合は、低温設定で軽くスチームをかけるか、当て布を使用してください。
チュールは、その特有の風合いと使い勝手から、ハンドメイドやファッションデザインにおいて重要な素材です。ドレスやチュチュスカート、トップス、パニエなど多岐にわたる使い道について、詳しくご紹介します。
・スカート・キャミソール・ビスチェ・ブラウス
・ウェディングドレス・ヴェール・カラードレス・ダンス、バレエ衣装・コスプレ衣装・舞台衣装・ボレロ
・衣装や帽子の装飾・ヘアアクセサリー・バッグ・カーテン・ホームデコレーション
今回は、シースルー素材の中から人気ある「ジョーゼット」「オーガンジー」「シフォン」「チュール」生地の特徴や違い、使い道についてご紹介しました。これらは春夏のレディース向けのアイテムにおすすめの生地です。それぞれのポイントを踏まえて、魅力を最大限に引き出せる、透け感を活かしたアイテムにぜひご活用ください。
■ ジョーゼット生地の商品一覧 ■ オーガンジー生地の商品一覧 ■ シフォン生地の商品一覧 ■ チュール生地の商品一覧
当社で取り扱っている商品の種類も多く、ここに記載できなかった商品もたくさんございます。用途やイメージに合わせて最適な商品をご提案することも可能です。ぜひ、お気軽にご相談ください。
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