リネン素材の服飾資材には、生地の他にテープやリボン、レースなどがあります。今回は生地に重点を置いて、用途の紹介や種類をご紹介します。

通気性や速乾性が高いリネンは夏のイメージだと思いますが、実は年中快適に過ごせる高機能な素材です。肌馴染みも良く、程よい上品さとナチュラルさが特長です。

衣服のみならず、インテリアファブリック、キッチンファブリックなど様々なシーンで活躍しています。このように幅広い用途としてご使用いただける、おすすめの素材です。

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1.「リネン素材」とは

リネンは、別名「亜麻(あま)」とも言われています。麻という字が使用されているように「リネンと麻は同じ素材では?」と思う方も多いのではないでしょうか?
間違いではありませんが正確には、麻とは植物に含まれている繊維の総称で20種類ほどの種類があります。リネンはそのうちの一種。つまり麻素材でも原料となる植物によって、それぞれ特徴が異なります。
その中でも衣料品に使われている主な素材は、リネン(亜麻)とラミー(苧麻)です。他にもバッグなどに使用されている、代表的な素材として「ヘンプ(大麻)」「ジュート(黄麻/こうま)」などがあります。

原料について

リネンの原料である植物「フラックス」
リネンの原料:フラックス

天然素材であるリネンの原料は、フラックスと呼ばれる亜麻科の植物。
フラックスは気温の低い地域で栽培されており、有名な産地としてフランスやベルギーなどが挙げられます。短期間で育つため、除草剤などの農薬もほとんど使用せずに栽培が可能で、水を与えなくても雨と光があれば育つ地球環境に優しい植物です。
また収穫の際は、繊維や種、根まで捨てることなく活用できる点からもサステナブル素材といえます。このフラックスの繊維から作られる、糸や布を"リネン”といいます。

2.リネン素材の6つの特徴

顕微鏡でリネン繊維を側面からみた画像
リネン繊維の顕微鏡画像(側面)
顕微鏡でリネン繊維を側面からみた画像
リネン繊維の顕微鏡画像(断面)

このようなサステナブルであるリネン素材は、優れた機能を持っています。その特長のひとつとして、シーズンレスな素材であることが挙げられます。

①シーズンレスな素材

夏のイメージが強いですが、実は冬にも大活躍。汗ばむ季節は、すばやく汗を吸い取ることでベタつきを抑えます。さらに通気性も良いため、涼しく快適に暑さを乗り切ることができます。
一方、寒い季節は繊維の構造により、繊維の中にあたたかい空気を溜め込むことができ、保温性を高めてくれます。表面に起毛加工が施されている、あたたかみのある風合いを持つリネン生地は秋冬シーズンのアイテムに多く使われています。
さらに冬に人気があるウール素材(羊の毛)との相性も抜群です。ウールリネンの生地はコートやアウター、夏のリネンアイテム同様にジャケット、ワンピース、パンツなど幅広く使われています。また、ウール素材のアイテムとの重ね着もおすすめです。
このように暑さだけでなく寒さも乗り切ることができます。

②吸水性・吸湿性・速乾性

コットンよりも約4倍の吸水性と速乾性をあわせ持っています。汗などの水分や湿気を素早く吸い取って発散することで、カビや雑菌の繁殖を抑えてくれます。
肌に密着することなく、さらっと快適に過ごすことができます。

③通気性・保温性

リネンの繊維は中が空洞になっており、そこに空気が含まれています。冬は体温であたためられた空気を溜め込むことで暖かく、夏は余分な水分や熱気を逃がすことで涼しく過ごすことができます。
繊維自体が熱量を自動で調整してくれる性質を持っているため、通気性と保温性のバランスが優れている素材です。一年中快適に使用できるリネン素材をぜひ取り入れてみてください。

④耐久性がある

天然繊維の中でも非常に丈夫な素材で、幅広い用途に使用できます。
水に濡れると繊維が膨張し密着することで、より一層強度が増す特長があります。
耐摩耗性にも優れています。

⑤汚れにくい

天然素材の中でも最も汚れが落ちやすく、洗濯にも強い素材です。
繊維に含まれているペクチンという成分が、汚れを奥まで浸透させるのを防いでくれます。
加えて、洗うと汚れが落ちやすいのもポイントです。

⑥経年変化を楽しめる

使い込むごと、洗濯するごとに、色味や風合いの変化を楽しめます。
数年使い込んだリネン製品は、肌馴染みも良く、やわらかさと光沢感がより一層増します。

<リネン生地の用途紹介>

リネン生地のジャケット
リネン生地を使用したジャケット
リネン生地の布巾
リネン生地を使用した布巾

・衣類
 ワンピース、シャツ、パンツ、スカート、ジャケット、バッグ、パジャマ、ルームウェア、子供服
・キッチン用品・日用品・生活雑貨
 エプロン、キッチンクロス、タオル、コースター、カーテン、ポーチ、マスク
・キッチン用品
 エプロン、キッチンクロス
・ベッドリネン
 シーツ、ベッドカバー、枕カバー
・テーブルリネン
 テーブルクロス、ナプキン、プレイマット

前段でご紹介したリネン素材の特長を生かし、衣服を始めとしてあらゆる製品に使用されています。心地の良い肌触りの良さから、特にワンピースやシャツ、パンツが人気です。他にもベッドリネンやテーブルリネンといわれているように、寝室や食卓で用いる製品にもよく使用されています。また家の中以外にも、ホテル、病院など様々な場所で幅広く活躍しています。

3.その他の麻素材の特徴

前述のとおり麻素材は種類が豊富で、原料の植物によって特性が異なります。
リネンと同様、衣料品に使われている素材「ラミー(苧麻)」。その他、身近な素材である「ヘンプ(大麻)」「ジュート(黄麻/こうま)」。それぞれの特徴と使用用途についても少しご紹介します。

ラミー/苧麻

・イラクサ科の苧麻(ちょま、別名カラムシ)という植物の繊維が原料
・麻素材の中でも最も強度のある繊維
・水に濡れると繊維の強度が増す
・硬めでシャリ感がある
・上品な光沢があり、ハリとコシが強い
 (洗濯を繰り返してもハリ感が持続)
・高温高圧の洗濯にも耐えられる
・繊維が太く長いため、リネンに比べて羽毛立ちしやすい
・清涼感がある
・天然繊維(シルクや綿など)の中でも吸湿性や速乾性に長けている
⇒主な使用用途:衣服、業務用ユニフォーム、靴下、ハンカチ、寝具 など

ヘンプ/大麻

・アサ科の大麻という植物の繊維が原料
・リネンやラミーの素材よりもさらにシャリ感がある
・自然な光沢感がある
・麻素材の中でも強度があり、硬い手触り
・リネンに比べて吸水性・発散性が高く、紫外線にも強い
・化学肥料や農薬を必要としない環境に優しいサステナブル素材
・抗菌作用もあり、カビに強い
・コットン(綿)との混紡素材の商品も多い
主な使用用途:帽子、バッグ、マスク、寝具 など

ジュート/黄麻

・シナノキ科の黄麻(こうま)という植物の繊維が原料
・繊維がしっかりとしているため、硬い質感でザラつきがある
・よりナチュラル感が強い
・チクチクとした肌触りでやや羽毛立ちがある
・あまり伸縮性がないため、型崩れしにくい
・汚れや臭いがつきにくい
・天然繊維の中でも耐久性と強度がある
・通気性や保温性、吸水性に優れている
・燃やしても有害物質が発生しないうえ、埋めると土に還るサステナブル素材
⇒主な使用用途:バッグ、麻袋、コーヒー豆の保存袋、カーペット、ラグ、ロープなど
▼ラミー(苧麻)商品一覧 ▼ヘンプ(大麻)商品一覧 ▼ジュート(黄麻)商品一覧

<麻の品質表示方法>

麻素材の中でも「家庭用品品質表示法」によって「麻」と表記できるのは「リネン(亜麻)」「ラミー(苧麻)」素材のみです。もちろん素材名「リネン、亜麻、ラミー、苧麻」で表記することも可能です。
その他の素材で作られた製品に関しては「植物繊維(黄麻)」「植物繊維(大麻)」と表記するよう定められています。

4.リネン商品|フレンチリネン・アイリッシュリネン・コットンリネン

リネン素材の商品には、いくつか種類があります。その中でもTrim-park SHIMADAで取り扱いのある代表的な「フレンチリネン」「アイリッシュリネン」「コットンリネン」についてご紹介します。

◎フレンチリネン

フレンチリネンとは、日本ではフランス産のフラックス(亜麻)を原料としたものを”フレンチリネン”と呼んでいます。フラックスの一大産地はヨーロッパ。中でもフランス(北部地方)は、涼しい気候で豊富な水に恵まれていることから全体の約80%を占めています。とりわけ上質なフレンチリネンの生地は、上品な光沢感と柔らかな肌触り、透けにくさが特長です。シャツやブラウス、ワンピースなどの衣服を始め、スリッパなどの雑貨まで様々な用途で使用されています。
▼フレンチリネン商品一覧

◎アイリッシュリネン

当時はアイルランド産のフラックス(亜麻)を原料としたものを”アイリッシュリネン”と呼んでいました。繊維がとても細く、とても滑らかな肌触りと光沢感があり、リネンの中でも最高品質を誇っています。しかし今日、アイルランド産のフラックスはほとんどないのが現状です。
現在でのアイリッシュリネンの定義は、“アイルランドやイギリスで織られたリネン織物”です。その中でも最高品質のフラックスで高度な技術で作ったリネンの細番手糸(60番手以上)からできる生地は、適度なハリ感と馴染みがあり高級なスーツやジャケットの衣服のみならず、一流ホテルのベッドシーツやタオルなどにも使用されています。
▼アイリッシュリネン商品一覧

◎コットンリネン

 “コットンリネン”とは名前の通り、コットン(綿)とリネン(麻)の2種類の天然素材を使用した生地のことです。コットンとリネンのそれぞれの良さを取り入れることで機能性もアップします。
▼コットンリネン商品一覧

<リネン素材の割合が多い場合>
程よいシャリ感と軽やかさがあります。さらに風通しも良く、速乾性もあるのがポイント。割合が同じ場合も、リネン素材の性質が強くなります。

<コットン素材の割合が多い場合>
ふんわり感もありつつ、しっかり感がでます。シワになりやすいといったリネン素材の短所も、コットンを混ぜることでシワになりにくくなります。また型崩れに強く、発色の良さが特長です。

コットンリネンのように機能性を持たせた生地は他にも様々あります。

ストレッチリネン」は、リネンとポリウレタン素材の生地。掛け合わせることで、ストレッチ性が低いリネンに伸縮性を持たせることができます。

リネンライク」は、合成繊維(例:ポリエステル100%)でできた生地。リネン素材特有の風合いを残しつつ、洗濯後のシワが気になる場合や摩擦性が重要視されるパンツなどに使用する場合など、シワになりにくく、羽毛立ちしにくいリネンライクの生地がおすすめです。
▼リネンライク商品一覧

5.リネン素材の服飾資材

リネン素材と聞くと、衣服やインテリアファブリックなどで使用されている「リネン生地」をイメージされる方が多いのではないでしょうか?前述の通り、生地の他にテープやリボン、レースにもリネン素材の服飾資材があります。主に衣服や巾着のひも、バッグの持ち手、タグ、装飾(ラッピング)などに使われています。

リネン素材のリボンを使用した装飾
リネン素材のリボン

リネン素材のテープやリボン、レースを使用することで、ナチュラルな風合いを損なうことなく、より製品を際立たせることができます。肌馴染みがよい素材なので、肩ひもなど直接肌に触れる部分に使用してもチクチクしないのがポイントです。また丈夫な素材でもあるので、テープはバックの持ち手など負荷がかかるところにも使用できます。
装飾としてリボンやレースを使用する際も、縫い付けしやすくおすすめです。
生地一覧 テープ・リボン一覧 レース一覧

6.まとめ

リネン素材についてはいかがでしょうか?
季節問わず使用できるリネン素材は、麻素材の一種で、程よい上品さとナチュラルさがあり、肌触りの良さもポイントです。機能面においても、通気性や速乾性、耐久性が高く、汚れにくさなども併せもつ多機能な素材です。そして私たちの生活の中でも様々なシーンで活躍しています。

Trim-park SHIMADAでは、様々なリネン素材の商品を取り扱っています。用途によってベストな商品をお探しください。ご相談も承っておりますのでお気軽にお問い合わせください♪

◎リネン生地一覧はこちら
https://trimpark-shimada.com/product/fabric?name=%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%83%B3

<<参考文献>>
・ボーケン(2017)「リネン(亜麻)・苧麻(ラミー)・大麻(ヘンプ)について」
 https://www.boken.or.jp/knowledge/fiber_information/natural_fiber/1895/
・日本麻紡績協会「麻の家庭用品品質表示法」「苧麻(ラミー)について」
 https://asabo.jp/knowledge/household/