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ツイルとは?生地の種類と特徴を解説

ツイル生地

「ツイル」は織物の織り方の名称です。生地の種類は幅広く、素材や特徴も多種多様。わたしたちが日常的に身につける衣料品やファッション小物、インテリア用品など、さまざまな製品がツイル生地で作られています。この記事では、ツイル生地の特徴や素材の種類、扱い方などを解説します。

目次

ツイル生地とは?

ツイルは「綾織り」と呼ばれる織り方で織られた生地の総称です。使われる素材や特徴も幅広く、色や柄、厚みなどもさまざま。

 

例えば、スーツやジャケット、柔らかで手触りのよいブラウスなどは、特にイメージしやすいツイル生地の製品ですし、ジーンズやチノパンの生地もツイルです。そのほか、チェックの織模様を生かしたアウターやバッグ、帽子などのファッション小物、ソファー、クッションやカーテンなど、ツイルは私たちの日常生活には欠かせません。

ツイル生地と人類

織物は私たちの「衣」と「住」を支え、生命維持にも深く関わっています。そのため織物の歴史は古く、エジプトの遺跡には、紀元前5,000年以上前の壁画に織り機が登場し、織物を織る様子が描かれ、さらに古くは、石器時代にも織物があったと言われています。

ツイル生地の発祥は定かではありませんが、高度な建造物を遺跡として残している文明なら、さまざまなツイル生地の紋様を楽しんでいたかもしれません。

 

日本では、ツイルは「斜文織(しゃもんおり)」「綾織(あやおり)」と呼ばれています。7〜8世紀の奈良時代に法隆寺や正倉院に納められた宝物の中には、斜文織を基本とする様々な紋様を織り込んだ綾織物が含まれ、大陸から織物と織物の技術がもたらされていたことがわかっています。※1

ツイル生地の織り方(作り方)

織物は、両端を固定して縦に並べた経糸(たていと)に、緯糸(よこいと)を左右の両端から規則的に潜らせて作ります。

ツイルは「縦糸の奥を2本(あるいは3本)潜らせた後に手前に1本」のパターンで織ったもの。日本では「綾織(あやおり)」とも呼ばれ、手前に渡した緯糸が全体になると斜めの模様を描いて見えるため、別名「斜文織(しゃもんおり)」とも呼ばれています。

ちなみに、縦糸の奥と手前を1本1本交互に潜らせたのが「平織(ひらおり)」、「奥に4本、手前に1本」の組み合わせで織られたのが「繻子織(しゅすおり)」(=朱子織)です。

綾織を合わせた「平織、綾織、繻子織」は、織物の基本の織り方として、「織物の三原組織」と呼ばれています。

平織

平織の織り方

綾織

綾織(斜文織)の織り方

繻子織

繻子織(朱子織)の織り方

綾織は、奥に2本通して手前に1本通したものを「三つ綾」、奥に3本通して手前に1本通したものを「四つ綾」と呼び、この二つを基本として発展し、さまざまな織り方で織模様があります。

ツイル生地の裏と表の見分け方

ツイル生地は、緯糸を「裏裏表」のパターンで通しているため、緯糸が斜めに出た「畝(うね)」の模様がしっかりと出て、艶が出ている方が表です。ですが、糸が細く目が詰まっていたり、経糸と緯糸が同じ色で織りが細かいとわかりにくい場合もあります。

ツイル生地-表

ツイル生地-裏

ツイル生地の特徴

ツイル生地にはさまざまな種類がありますが、共通する特徴がいくつか見られます。

柔らかい

柔らかい

素材にもよりますが、素材や糸などの条件を同じにして織られた平織とツイルでは、ツイルの方が柔らか。そのため、平織に比べて肌あたりも優しく感じるはずです。

伸びが良い

伸びが良い

ツイルの生地は適度な伸びがあり、衣服として使うと体の動きを邪魔しません。厚く硬めの生地を使ったジーンズやチノパンも、元は作業着。着用するうちに体の形や動きに合わせたように馴染んでいくのも特徴です。

光沢

光沢がある

ツイルは光沢が出やすい生地ですが、シルクやナイロンなどの光沢のある素材だとさらに艶感アップ。グッと上品な光沢を楽しめます。

バリエーション

素材・厚み・プリントが豊富!

ツイルはとにかく種類が豊富。糸の太さや織り方、素材などの組み合わせでさまざまな種類のツイルがあります。

デニム

コットンの糸をインディゴで染めて経糸に使用した生地。

ダンガリー

デニムとは反対に緯糸をインディゴで染めて使用した生地。デニムよりも薄手で織られることが多い。

チノ

主にコットンの糸で織られた丈夫な生地。軍用服として使われていたのが始まり。

ギャバジン(ギャバ)

ウールを使い、経糸の密度を緯糸の2倍で織りあげた丈夫なツイル生地。(現在はコットンやポリエステルも含む)

綾目の角度が通常の45度よりも急になっているのが特徴。スーツや制服、レインコートなどのアウターに使われることが多い。

カツラギ

極太の糸を使用した肉厚で丈夫な生地。昔は2本の糸を撚ったものを使いました。デニムほどの硬さがなく、柔らかく使いやすいため、半纏やコック服、ユニフォームにも使われます。

ヘリンボン(ツイード・杉織)

斜めのラインがジグザグの畝模様になった生地。シックでクラシカルな印象の、スーツやジャケットなどに合う生地です。

ネル(フランネル)

毛羽立ちのある毛糸状のウールで織られたツイル(平織もあります)。保温性が高く、労働者の冬着や上着に使われていました。コットンで織られたコットンツイルもあります。毛足の長いものはストールやブランケットに最適。

フラノ

厚手のネル(フランネル)。ネルよりも柔らかく表面もなめらか。秋冬のスーツやジャケット、コートなどにもよく使われています。

サージ

ウールを主原料とする毛織物。毛羽立ちが少なく、表面は滑らかで手触りがいいのが特徴。通気性が良く丈夫なので、学生服やスーツの生地によく使われています。

シャークスキン

表面の毛羽立ちを刈って滑らかにした生地。遠目に見るとグレーやネイビー、よく見ると細かな綾織模様が渋く、スーツなどによく使われています。ウールやコットン、ポリエステルなどもあります。

上記はほんの一部。ツイルは基本の織り方なので、素材や糸の太さ、組み合わせによってほぼ無限です。

例えば、滑らかで暖かなウールのブラウスや、肌触りが優しく、柔らかなラインのスカート、ナイロンのツイルを使ったMA-1ジャケットや、デニムやチノパンのようなワークパンツ、ソファーやクッションのような強さと弾力性を求められるインテリア用品など、ツイルはあらゆるところで使われています。

ツイル生地を使用する時の注意点

素材も用途もさまざまですが、弱点のような特徴もあります。

強度はあまりない

強い生地として代表的な生地といえば平織の「キャンバス生地(帆布)」ですが、同等の糸や厚みの生地として比べるとツイルに勝ち目はなさそう。ツイルは日常的なバッグや衣料品として選ぶ分には問題ありませんが、「絶対に強度が欲しい」「丈夫で長持ちさせたい」という時は、強度のあるナイロン糸で織られたツイルを選ぶか、キャンバス生地の方がおすすめです。

ツイル生地の代表的な素材と特徴

ツイル生地

ツイルのバリエーションはほぼ無限

しなやかで手触りもよく、通気性もあるツイルは、綿(コットン)、麻(リネン)、ウール(羊毛)、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、リサイクル素材など、ありとあらゆる素材でのバリエーションがあります。

そこで、Trim-park SHIMADAで扱う代表的なツイル生地を素材ごとにご紹介します。

高機能繊維

綿(コットン)

品番:17000

混率:綿100%

生地幅:112cm

巻数:53m

100色以上の豊富なカラー展開が魅力のコットンツイル。イメージにぴったりのカラーをぜひ見つけてください。一部カラーは半折も取り扱っています。

品番:11498

混率:綿100%

生地幅:152/154cm
巻数:50m乱

ハイカウントのハリコシ感と、エアータンブラー加工による洗いざらしのような仕上がりが魅力のコットンダンプ。パンツやジャケットにも使いやすい中肉厚素材です。

麻(リネン)

品番:22481

混率:麻100%

生地幅:130/132cm
巻数:50m乱

フレンチリネン100%の中肉厚のツイル。さらりとした風合いと、使ううちに肌に馴染む天然素材らしさが魅力です。

品番:L4013TOP

混率:麻100%

生地幅:110cm
巻数:27m乱

リネン素材のツイル生地。糸にする前の素材の状態で染色するため、糸の色にムラができて、織り上げた生地はナチュラルな風合いが特徴です。

綿麻(コットンリネン)

品番:SF7040

混率:綿65%/麻35%

生地幅:110cm
巻数:25m

太い糸で織り上げ、洗い加工を施した柔らかく厚みのあるツイル生地。特殊な染色技術を用い、メランジ調に仕上げました。厚みがあるので、秋冬のアウターやパンツにおすすめの生地です。

品番:35332

混率:麻55%綿45%

生地幅:102/104cm
巻数:60m

涼しげなストライプ柄のヘリンボン組織の生地。天然素材のリネンとコットンの組み合わせによってナチュラルでフェード感がある生地です。

ウール(羊毛)

品番:76353

混率:ウール50%/綿50%

生地幅:134/138cm
巻数:25m乱

少し厚手でヴィンテージの味わいと、コットンとウールによる異収縮差、ワッシャー加工によるふくらみで、軽さと暖かさ、柔らかさを併せ持つキレイ目な印象のツイル。

品番:68225Z

混率:ウール/ポリエステルなど

生地幅:148cm
巻数:50m

再生ウールを主材料とするツイルとヘリンボンのシリーズ。どちらも温かく通気性が良いのが特徴。織目模様が細かなツイルと、ジグザグ模様がシックなヘリンボン、秋冬のスーツやアウター、小物などに好適です。

ポリエステル

品番:43293

混率:ポリエステル100%

生地幅:144/146cm
巻数:50m

ポリエステル100%のウールライクな生地。肌に触れてもチクチクせず、やや薄手でストレッチ性があります。シワが付きにくく、ウォッシャブルなのが特徴。ジャケット、パンツ、スカートほかファッションアイテムに最適です。

品番:11485

混率:ポリエステル65%/綿35%

生地幅:148/150cm
巻数:53m

ペットボトルや繊維屑などを原料とするポリエステルで織り上げた、中肉厚ツイル。美しい綾目にしなやかさとハリとコシを持ち、シワと縮みが少ない生地です。

ナイロン

品番:SB13000

混率:ナイロン100%

生地幅:120cm
巻数:50m乱

アメリカ空軍が着用していたフライトジャケットの素材を忠実に再現するために開発された、日本製のナイロンツイル。高密度に織り上げて出る独特の艶感と軽さ、丈夫さなど、生地だけでも一目で「MA-1」とわかる特徴的な生地です。

品番:764

混率:ナイロン100%

生地幅:122cm
巻数:50m

先の「ヴィンテージ ミリタリーナイロンツイル SB13000」と同じく、ミリタリーアイテムをイメージさせる生地です。MA-1にはもちろん、やや薄手で軽いためアレンジアイテムにも良さそう。

レーヨン混

品番:43171

混率:ポリエステル65%・レーヨン35%

生地幅:142cm
巻数:50m

ポリエステル/レーヨン60双糸を経糸にして織り上げた、光沢のあるツイル。柔らかく、シワになりにくい上品な表情の生地です。

品番:8849

混率:ポリエステル63%/レーヨン35%/ポリウレタン2%

生地幅:142/147cm
巻数:50m

「白×カラー」のチェック柄を展開したストレッチの生地。伸びが良く、しなやかでほどよいドレープ感があるので、ワイドパンツやスカートにおすすめの生地です。

リサイクル素材

品番:7594

混率:ポリエステル100%

生地幅:140cm
巻数:50m乱

ストレッチ性が特徴のリサイクルポリエステルを使用した生地です。UVカット性に優れ、コットンの風合いを持ちながらシワになりにくく、サステナブルかつ機能性も兼ね備えた注目度の高い生地です。

品番:M-5741

混率:ナイロン100%

生地幅:122cm
巻数:50m

リサイクルナイロン糸を使用したサステナブル素材。撥水加工を施したシンプルな中肉で、アウターや鞄などに最適です。

高機能生地

品番:M3000

混率:ポリエステル100%

生地幅:150cm
巻数:50m乱

シンプルな中肉のツイルに見えて、実は半永久的な制電機能を持つ機能性が高い生地。導電糸を使用したポリエステル100%のツイル生地です。

品番:42505

混率:綿55%/キュプラ45%

生地幅:104/106cm
巻数:46m

キュプラとコットンを使用しているので吸放湿性があり、夏はサラリと涼しく、冬は暖か。上品で主張しすぎない光沢とドレープ感があり、高級衣料品の裏地として使われることが多い生地です。

ツイル生地のお手入れと保管

ツイル生地は素材や加工によって取扱い方法が異なりますデニムやチノのように毎日の生活の中でラフに使って家庭で洗濯できるものもあれば、シルクやレーヨンのようにデリケートなものもあります。

そのため、お手入れと保管方法はそれぞれの生地の洗濯表示や注意書きの内容に合わせるようにしてください。

Trim-park SHIMADAで、最適なツイル生地を

素材や糸の太さ、織り方によってさまざまな表情を見せるツイル生地。種類が豊富なツイル生地を探すなら、幅広い商品ラインナップが魅力のTrim-park SHIMADAがおすすめです。500種類以上のツイル生地から用途に合った生地をぜひ見つけてください。

 

「どうやって選べばいいかわからない」「一番合う生地が欲しい」「ほかにいい生地があれば教えて欲しい」そんな時は、どうぞお気軽にご相談ください。お客様の使い方やデザインなどのイメージに合わせた最適な1枚を、服飾資材のプロがご提案いたします。

Trim-park SHIMADA(トリムパークシマダ)とは?

Trim-park SHIMADAは服飾資材のBtoB通販サイトです。アパレル、バッグ、雑貨用の副資材を幅広く取り扱っています。生地はもちろん、ボタン、ファスナー、テープ、リボン、パーツ類など服一着作る資材がまとめてそろうのがメリットです。

個人事業主やハンドメイド作家の方もご購入いただけますので、ぜひサイトをご覧ください!

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