タフタは、皆さんもご存知の通り、ウェディングドレスやイブニングドレスなどのフォーマルウェアとして定番の生地です。加工を施した生地も数多く、さらに様々な素材で織られているため、カジュアルからトラディショナルなアイテムまで幅広く使われています。
今回は、マルチなタフタ生地について、用途やおすすめ商品も含めながらご紹介します。

1.タフタとは

軽量で立体感のあるジャガード生地
713Z 210本ベーシックタフタ N:100%

タフタとは、合成繊維(ポリエステルやナイロンなど)の長繊維の生糸(なまいと)で織られた、密度の高い平織りの生地です。タテ糸は密に織り、ヨコ糸は少し太めの糸を使用することで、横方向に細かい畝(うね)が現れます。

本来は、シルクで織られた絹織物を指します。しかし、高価で欠点も多かったため、近年ではポリエステルやナイロン、レーヨンなどの素材で作られた生地も増えています。
中でも、ポピュラーな生地がナイロンの糸で織った「ナイロンタフタ」です。ナイロン特有の光沢感を持ち、丈夫で撥水などの機能加工がしやすく、スポーツアイテムやアウトドアアイテムに最適です。

タフタ生地は、薄手でありながらコシのある風合いが特徴で、ウェディングドレス、イブニングドレスなどのフォーマルウェアやスカート、スポーツウェアのブルゾン、ダウンジャケットなど非常に幅広く使用されています。また、環境に配慮したリサイクルタフタ生地もあります。

高密度タフタとは

高密度タフタとは、極細の糸を使用して、通常のタフタよりも更に高密度で織り上げられた生地のことです。防風性や耐久性があり、透湿性(蒸れにくい性質)も併せ持っています。撥水加工が施されていなくても、多少撥水性もあります。
高機能な素材で、ダウンアウターの表地やアウトドア・スポーツウェア、テントなどに使用されており、人気の高いタフタ生地です。

2.タフタの特徴

光沢感とハリ感のあるタフタ生地
タフタ生地

タフタには、どの素材でもシルク同様のドレープ性や光沢感、ハリ感を持っています。
このように魅力溢れるタフタのポイントは、大きく分けて3つあります。

①軽量

タフタは薄手の素材です。
着用時に重さを感じにくく、長時間着用していても快適な着心地を提供します。

② 光沢感とハリ感、ドレープ性

光沢感と言えばサテン。ですが、サテンのような柔らかな質感ではなく、タフタは硬めの質感でパリッとしたハリ感を持っています。通常、硬さのある生地はドレープが出しにくいですが、タフタは美しいドレープを作ることができる生地なのです。独特な光沢のあるドレープは、高級感に溢れ、品の良さを演出してくれます。理想の形に仕上げやすいため、シルエットやディテールが重要とされるウェディングドレスにタフタが使用されている理由のひとつです。

③  立体感

美しいドレープを作り出せるタフタは、畝(うね)の存在や光の反射によって立体感を持たせます。
タフタの表面をよく見ると、細かいよこ畝が見えます。この畝があることで光沢感が増し、立体的な印象を与えます。加えて、タフタは光を反射しやすく、光の角度によってもツヤの見え方や強さが変化する特性を持っています。光が当たるたびにツヤが輝き、このツヤがアイテムに立体感を出してくれるのです。

このように、ハリとドレープを組み合わせ、さらにツヤによって立体感をプラスすることで、シルエットにこだわったアイテムでもデザイン画通りの形を実現できる素材です。
そんなタフタですが、実は繊細な生地でもあります。

扱う際の注意点

・シワになりやすく、熱に弱い
薄手の生地なのでシワになりやすい素材です。高温のアイロンで伸ばすと生地を傷める可能性が高いため、低い温度でアイロンがけをしてください。

・シミがつきやすく、落ちにくい
タフタは水シミも残りやすいので、スチームアイロンは避けてください。当て布をした上からのアイロンがけをおすすめします。また、チョークや油性ペンでの印も要注意です。水性、油性問わず、シミがついてしまった場合はクリーニングに出しましょう。

・通気性が低い
体全体を覆うようなアイテムには適していません。アウターなどに使用したい場合は、吸湿性の高い裏地を使うなどの工夫を凝らす必要があります。

3.タフタは加工を施した生地など種類も様々!

扱いやすいタフタには、加工を施した生地も豊富です。例えば、撥水コーティング加工やアクリルコーティング加工、ピーチ起毛加工などがあります。
撥水コーティング加工を施した生地は、撥水を要するアイテムや裏地使いなどにもおすすめです。表面が滑らかで軽く、サラッとした特徴を持つタフタは、撥水加工とも相性が良いのです。
アクリルコーティング加工を施した生地は、防水性・撥水性を兼ね備えており、雨の日のアイテムに最適です。アクリルコーティング加工とは、生地の裏面にアクリル樹脂などの合成樹脂を糸一本一本に含ませることにより、生地目を防ぎ、水が染み出るのを防ぐ加工のことです。
その他にも、ピーチ起毛加工を施した生地もあります。中肉で質感が良く、使い勝手が良い素材です。
ピーチ起毛とは、表面を起毛させて桃の産毛のように仕上げた加工のことです。
これらの他にも、超撥水加工やグローゼル加工、ビンテージ加工など様々あり、用途に合わせた生地を選ぶことができるのもタフタの魅力のひとつと言えます。

4.タフタの使い道

タフタ生地を使用して作られたウェディングドレス
タフタ生地で作られたウェディングドレス

タフタは、ギャザーやウエストの絞り、バックスタイルなどの細かなディテールやシルエットに拘ったアイテムも実現できます。また、ハンドメイドにも最適です。

■フォーマルドレス
タフタ生地の定番とも言える、ウェディングドレスやイブニングドレスによく使われています。光沢感やハリが華やかなシルエットを作り出します。形が崩れにくいため、ディナー用ドレスや子供用ドレスにもおすすめです。

■スカート、ワンピース、トップス
ギャザーのあるデザインや裾が広がったフレアスカートやワンピースに適しています。軽やかな動きと美しいドレープを実現できるので、トップスにもお使い頂けます。

■バッグ、ポーチ
表面が滑らかで軽く、サラッとしたタフタは、撥水加工とも相性が良く、バッグやポーチ作りにもぴったり。加えて、雨の日でも形が崩れにくい素材もあり、傘カバーなどの雨の日のアイテムにも利用されています。より高密度で織られたタフタ生地は、防水性に優れています。

このようにタフタは、特有の美しい光沢とハリ感を活かして、多くのファッションアイテムに使用されている素材です。他にもアクセサリー用のリボンや服の裏地など、幅広く活躍しています。ちなみに第2次世界大戦中は、パラシュートの材料としてタフタ生地が使われていました。

5.起源と歴史について

タフタ(taffeta)は、ペルシャ語で「紡ぐ」または「ねじって織る」=taftahが由来とされています。タフタ生地は、12世紀にバグダッドのアッタビヤの地で誕生しました。
日本には同じ製法で織られる「琥珀織り」という生地があるのですが、タフタはその琥珀織りよりも薄手の生地なので「薄琥珀」と呼ばれることもあります。

6.おすすめ生地

【713Z】210本ベーシックタフタ N:100%(撥水アクリルコーティング)

双日ファッションの210本ベーシックタフタ生地 713Z
210本ベーシックタフタ N:100%(撥水アクリルコーティング) 713Z

生地幅:122cm
長さ:50m
混率:ナイロン100%
特長:アクリルコーティング撥水

しなやかな風合いをもった210本タフタ素材です。撥水機能も持ち併せています。

【41186】ポリエステル/ナイロン高密度メモリータフタ

サンウェルのポリエステル/ナイロン高密度メモリータフタ生地 41186
ポリエステル/ナイロン高密度メモリータフタ 41186

生地幅:138/138cm
長さ:46m
混率:ポリエステル75%ナイロン25%
特長:撥水
厚さ :やや薄手
染色方法 :後染(PIECE DYED)

ふくらみが特徴の割繊糸を使用し、高密度に織り上げることでパリッとしたタフな風合いに仕上げました。やや薄手で、適度なメモリー性が立体感のあるシルエットを演出。マットなルックスとピーチタッチが素材感を一層引き立てます。

・【OS13700】リサイクルナイロンタフタ塩縮C-ZERO仕上げ

柴屋のリサイクルナイロンタフタ生地 OS13700
リサイクルナイロンタフタ塩縮C-ZERO仕上げ OS13700

生地幅:132/134 cm
巻数:35m乱
素材:ナイロン100%

アウターの定番生地である薄めのタフタに塩縮加工を施すことで表面感とヴィンテージ感のある新しい素材に仕上がりました。
リサイクルナイロンを使用し、フッ素化合物を含まないC-ZERO撥水剤で仕上げたサスティナブル素材です。

・【914】リサイクルPE リップストップタフタ

双日のリサイクルPEリップストップ生地 914
リサイクルPE リップストップ 914

生地幅:144cm
長さ:50m
混率:ポリエステル100%

一部リサイクルポリエステル原料を使用し、C-ZERO撥水を施した環境にやさしい素材です。

7.ディテールやシルエットに拘ったアイテムにはタフタ生地を!

タフタのご紹介はいかがでしたでしょうか?
皆さんの身近にあるタフタ生地は、デザイン性と機能性を兼ね備えた素材であり、使い道も幅広いです。軽量で生地表面が滑りやすいので、縫い心地は少し難しいですが適切な準備を行えば、素敵なアイテムを作成できます。

当社で取り扱っている商品の種類も多く、ここに記載できなかった商品もたくさんございます。 用途やイメージに合わせて最適な商品をご提案することも可能です。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

<<参考文献>>
・繊研新聞(2020)「《素材3分レッスン20年春夏》ナイロンタフタ 光沢のある薄い平織り」

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