ダンボールニットは、主に衣服の素材として使用されており、パーカーやスウェット、Tシャツ、ワンピース、スカート、パンツなど多岐に渡ります。
特有な構造により、保温性が高いだけでなく、シワになりにくく柔らかいといった様々な特徴を持ち併せています。また、シンプルな生地でもパターンやデザインによって、カジュアルからエレガントまで幅広く活用できるのも魅力のひとつです。
今回は、ダンボールニット生地とはどのような生地なのか、メリットやデメリットに加え、用途やパターンのポイントについてご紹介します。

ダンボールニット生地とは?

保温性が高く、ふんわりとした柔らかいダンボールニット生地
41676 ポリエステルマットダンボールニット

ダンボールニット生地とは、表地と裏地の2枚の生地を重ねて中糸で繋ぎ合わせて作られる、丸編みのニット(ジャージ)生地の一種です。特徴的な凹凸感のある表面は細い糸を編み込んで作り、裏面にはふわふわとした毛羽を持つ糸を使用しています。表と裏の生地を支える役割を担っている中糸は、表地と裏地の間に空気の層を作るよう柱が立つようにジグザグに編まれています。この構造がダンボールの断面に似ていたことから、この名前が付けられました。
主な素材は、天然素材であるコットン(綿)、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維の素材、混紡素材です。

ダンボールニットの構造

<ダンボールニットの構造図>

ダンボールニットの構造図
ダンボールニットの構成

上図のような構造を持つダンボールニットは、表地と裏地でそれぞれ異なる組織や色や質感を持つことができるため、表地と裏地の組み合わせ、糸の太さ、色や素材、デザインなどによって多様な表情を持つ生地です。さらに中糸の太さや密度によって、生地の厚みや軽さが変わります。
立体感や厚みがありますが、柔らかく程よいストレッチ性(伸縮性)もあり、型崩れしにくく着心地も快適です。肌触りが良く、保温性も高いので肌寒い季節にぴったりです。

ダンボールニットのメリット・デメリット

保温性が高く、ふんわりとした柔らかいダンボールニット生地
41676 ポリエステルマットダンボールニット

前段でもご紹介しましたが、ダンボールニットは表と裏の生地を重ねた多層構造です。中糸(つなぎ合わせた部分)が空洞を持つ構造になっていて、生地の間に空気を貯めることができます。この独特な構造により、様々な利点があり人気の高い生地です。
そんなダンボールニットのメリットとデメリットについてご紹介します。

メリット

◆保温性が高い

空気の層が作られることで、保温性の高い生地を作ることができます。断熱性にも優れており、生地内に多くの空気を貯めつつ、暖まった空気を外に逃がさないため、寒い季節には暖かく快適に過ごすことができます。

◆意外と軽い

空洞に空気が入ることで、厚みがあるのに見た目以上に軽くて着心地抜群です。長時間着用すると疲れるような重みのあるジャケットやコートなどにも、ストレスなく着られるのではないでしょうか。

◆シワになりにくく、柔らかい

ダンボールニット生地は、程よいハリ感があり、シワになりにくいのもポイントです。ただし、コットン(綿)素材は比較的シワになりやすいので注意が必要です。また空気の層によって、クッションのようなふんわりとした肌触りの柔らかさを持っています。素材によっては光沢感がある商品もあり、ニットの中では上品な印象を与えてくれます。

◆ストレッチ性がある

丸編みという円状に編み針が並んだ丸編み機を使って編まれるニット生地のため、伸縮性も備えています。体の動きに合わせて伸び縮みするので、ストレスなく着心地の良さも魅力の1つです。

◆透けにくい

表地と裏地の2枚の生地を使用しており、中空構造にもなっていることから、透けにくいです。裏地がなくとも生地1枚で使用することが可能で、スカートやボトムス用生地としても重宝されています。

◆立体感

表面に凸凹感やざらつき感があることで、シルエットに表情や立体感が出ます。シンプルなデザインでも存在感があります。

デメリット

◆毛羽立ちや毛玉ができやすい

ダンボールニットは使用する素材によって羽毛立ちや細かな毛玉ができる可能性があります。特にウールやポリエステル、レーヨンなどの素材においては、脇の下や裏側など擦れる部分は注意が必要です。使用する素材によるため、他の生地と同様、毛玉取りやブラシで定期的にお手入れすることで長持ちすることができます。羽毛立ちだけではなく、摩擦や引っ掛けにより中糸が飛び出してしまう可能性もあります。その点においては、デリケートな側面も持つ生地と言えます。

◆乾燥機にかけると縮むことがある

ダンボールニット生地には様々な素材が使われており、近年ではカジュアルファッションでの使用も増え、綿(コットン)素材を使用したダンボールニットの衣服も人気があります。綿は、乾燥機にかけると縮んでしまう可能性があるので注意してください。

デメリットもありますが、ニットのなかでも耐久性が高く、優れた機能を持つ生地です。保温性もあり、シワになりにくい素材は扱いやすくておすすめです。適度なハリ感や編み目が細かく透けにくいことから、上品さも兼ね備えています。
コットンやポリエステルなど、さまざまな素材で作られているので、用途に合わせて選ぶことが大切です。

用途とパターンのポイントについて

ダンボールニッ生地を使用したパーカー

ダンボールニット生地はつなぎ糸が進化したことで、今や多くの用途に使われています。
しかし、以前は歯ブラシなどに使われている資材用のモノフィラメントが使用されており、ハリ感が強く硬かったため、スポーツウェアなどのアイテムにしか展開されていませんでした。
近年では、ストレッチ性のある柔らかい生地へと変化したことで使い道が広がりました。また、パターンやデザインを工夫することでカジュアルからエレガントまで幅広く使えるニット素材として、注目を浴びています。レディース・メンズを問わず、さまざまなブランドのアイテムに使われています。
今回は主な使い道とパターンのポイントをご紹介します。

◎プルオーバー

ダンボールニットの定番といえば、パーカーなどのプルオーバーではないでしょうか。保温性も高く、凸凹感やざらつき感があるので、無地でも存在感があります。
首元や袖口にリブを入れると、ヨレにくく、よりカジュアルな雰囲気になります。プルオーバーは、デイリーウェアとしても活躍。生地特有のハリ感がボディーラインを拾わず、スタイルよく見せてくれます。

◎ワンピース、スカート、ボトムス

シルエットやディテールによって雰囲気が変わるワンピースですが、ダンボールニット素材ならではの高級感を出せます。厚みとハリがある生地なので、シルエットがきれいなAラインスカートやワンピースなどに適しています。

Aラインはウエストから裾にかけて広がる形で、女性らしいフレア感や動きのあるドレープを作り出します。より洗練された雰囲気にしたい場合は、ウエストマークやスリットなどのデザインを入れるのもおすすめです。
また、ダンボールニット生地は伸縮性があるため、バルーンのパターンにも対応できます。バルーンは袖や裾などにゴムを入れてふくらみを出すデザインです。バルーンはふんわりとした可愛らしさや個性的な印象を与えます。シックな色味のダンボールニット生地でも、バルーンで遊び心や柔らかさを加えることができます。
ダンボールニットのワンピースやスカートは、生地の上品さを際立たせてくれるのではないでしょうか。
透けにくいという点からも、ボトムスにも使用されています。伸縮性や保温性も持ち併せており、秋冬シーズンにうってつけです。ダンボール生地を使用したセットアップは、スタイリッシュに見えます。

◎コート、ジャケット

適度なしっかり感を保ちながらソフトな風合いのダンボールニット素材はコートやジャケットにも使われています。保温性はもちろん、厚みのある生地ですが軽いため長時間着用しても疲れにくく、コートやジャケットなどにもおすすめです。しっかりした生地なので、上品な印象を与えてくれます。

◎リバーシブル

表面と裏面の生地を変えることで、色や質感を楽しむリバーシブルも可能です。リバーシブルは着回しやコーディネートの幅を広げることができます。シンプルなイメージが強いダンボールニット生地ですが、リバーシブルで変化やアクセントを加えることができるのではないでしょうか。

◎切り替え

切り替えは、生地や色を部分的に変えるデザインのことです。
ダンボールニット生地は表裏で色や質感を変えることができるため、切り替えのデザインにも向いています。切り替えはメリハリやリズムを作り出すことができ、無地でもデザインや素材、カラーを楽しむことができます。シンプルでありながらも目を惹く仕上がりに!

◎レイヤード

レイヤードは重ね着するデザインのことです。
レイヤードは重ねることで奥行きや立体感を作り出すことができ、様々なインナーとのレイヤードが楽しめます。また、レイヤードによって軽さや透け感をプラスすることができます。

このように用途も幅広く、デザインの自由度が高いのもダンボールニット生地の特長です。
しっかりとしたハリ感があり、型崩れしにくい生地なので、バルキーなシルエット(ゆったりとしたシルエット)や立体的なデザインに向いています。ダンボールニットはシンプルな生地ですが、光沢感のあるものを使用したりデザインを変えたりすることで、様々なファッションに変化します。

おすすめのダンボールニット生地4選

DAN-535 ダンボールニット “ダンダーン”

クッション性のある、ふっくらとしたダンボール生地で、吸水加工や対紫外線遮加工も施された生地。
DAN-535

品番:DAN-535
生地幅:140cm
長さ:40m乱
混率:ポリエステル100%

マスダの生地定番に新世代ニットファブリックが登場しました!
マスダのスムース素材の中でもトップクラスの厚みを持ちながら、多彩な機能性があります。

主な特徴
・フルダル糸を使用したマットな表面感
・ストレッチ糸による優れたキックバック性
・吸水加工
・対紫外線遮蔽率99.9%
・クッション性
・ふくらみ感

用途としては、カジュアルアパレル向けセットアップ・スカート・スポーツ・アウトドアだけではなく、ユニフォームや資材分野まで幅広く活躍が期待できる商品です。

<イチオシの用途>アウターウエア、パーカーやパンツ、帽子

41676 ポリエステルマットダンボールニット

UVカットや吸汗性、透けにくいといった機能性を持つ高密度でやや厚手のダンボールニット生地
41676

品番:41676
生地幅:140cm
長さ:42m乱
混率:ポリエステル100%
生地の種類 :天竺/ジャージー
厚さ :やや厚手
染色 :後染(PIECE DYED)

UVカットや吸汗性、透けにくいといった機能性を持つ高密度でやや厚手のダンボールニットです。ふくらみのある高収縮ポリエステル糸を使用する事で、軽量かつ嵩高性のある快適素材に仕上げています。またフルダル糸を使用しており、マットな表面が特徴です。汎用性のある素材ですが、特にTシャツにおすすめです。

<イチオシの用途>Tシャツ、パーカー、スカート、ワンピース

③11691 コンパクトダンボールニット

コンパクトな表面感を持つダンボールニット生地でハリコシがあります。
11691

品番:11691
生地幅:160cm
巻数:32m乱
混率:コットン74%ポリエステル26%

コンパクトな表面感を持つダンボールニット。ハリとコシがあり、ボリュームのある素材ながら軽くしなやかな中肉厚の素材です。汎用性のある素材ですが特におすすめは、Tシャツです。

<イチオシの用途>Tシャツ、パーカー、スカート、ワンピース

③102 40ダンボールニット

厚みのあるクッション性のある生地で、カラー展開も豊富で幅広い活用ができます。
102

品番:sz102
生地幅:180cm
長さ:31m乱
混率:綿(コットン)100%
特長:日本製

用途範囲の広い代表的な素材でカラー展開も豊富で幅広い活用ができます。

<イチオシの用途>パーカー、トレーナー

まとめ

ダンボールニット生地のご紹介はいかがでしたでしょうか?

高い保温性を持つことから、寒い季節に相性抜群な生地なのです。
ユニークな構造を持つダンボールニットは、パーカーやトレーナーなどのプルオーバーやワンピース、スカート、Tシャツなど汎用性の高い生地です。

用途やイメージに合わせて商品をご提案することも可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

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